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短編集【黒子のバスケ】

第17章 太陽のような人【火神】


「うし、じゃあこれは俺のな」
「え?…っ、いつの間に!」

その時既に彼の手には開封された私のケーキがあって。
止める間もなくそれは彼の口内に飛び込んでいった。

咀嚼している彼をオロオロと見つめる。
大丈夫だろうか、ビニール袋を用意してきた方が良かったんじゃないのか。
万が一のことを考えて青ざめる私の気持ちを知ってか知らずか、彼はやけにゆっくりと咀嚼する。

「……」
「た、大我…?」
「…普通に美味いぞ、これ」
「…………へ?」

その時丁度私達の様子を見ていたクラスメイトによると、互いに間抜けな表情で見つめ合っていたらしい。
覚悟していた風にではなくやけにあっさりと終わったことに、私は拍子抜けを食らっていた。
非常に失礼な判断の仕方だが、大我が笑顔ではなく本当に驚いたというような表情でそう言っていることからも、そのケーキが食べられるものであることがわかった。

「…よ、良かったぁ…」

ほっと一息つくと良かったなと大我が撫でてくれる。
その心地よさに身を任せているも、大事なことを言い忘れていたことに気付き、慌てて立ち上がった。

「大我!」
「あ?どした?」
「誕生日おめでとう!」
「…おう、サンキュ!」

生まれてきてくれてありがとう、私の太陽。
これからもそばで私を暖めて下さい。
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