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短編集【黒子のバスケ】

第15章 勘違いの末に【笠松】


「えと、あのなぜ私が笠松を好きでないと…?」
「俺はこの間お前に告ったも同然だけど、あの後お前何も言ってねぇからな。それから今まで通りにされたから無かったことにしたいのかと思って」
「…あー…」

思い返すと確かに返事をした記憶がない。
あの時はこの気持ちが本当に恋か分からなかったから保留にした気がする。
なるほどこれは確かにそう取られても仕方がない。

「…でも笠松だってあれから態度変わったじゃん」
「は?いつだよ」
「私が黄瀬と話しても遮らなくなった」
「そりゃ自分を振った相手が男と話しててもこっちは止められねぇだろ」
「……」
「……」

会話することで次々明らかになる事実。
それらをまとめると、

「勝手に自己完結したことによる勘違い…」
「ってことになるな…」

なんともアホらしい結論に達した。
そんなことに悩んでいた自分がおかしくて思わず笑うと、笠松も同じだったようで声が重なる。

そのまま2人で笑いあうと笠松がそっと私の手を握った。
そして真剣な表情で私に告げる。

「改めて言わせてくれ。お前が好きだ、九条」
「私からも。私も笠松が好き。私をあなたの彼女にしてください」

答えはイエスだと分かっているのにやっぱり告白は緊張する。
少し俯いていた私の額に、笠松が自分のそれをぶつけてきた。

「最高の誕生日だ、ありがとう」
「次は恋人として祝うね。そしていつかの誕生日には…」

私をあげる。

そう背伸びして囁いた後、覗き込めば案の定頬を染めた彼の顔。
思わず吹き出してしまう私を睨む笠松から逃げようとするも、繋がれた手でそれは叶わない。

私も、そして笠松もそれは分かっていて、どちらからともなく抱きしめ合った。
そしてお返しというように、彼は私の耳元で囁く。

「楽しみにしてる」

まだまだ遠い、次の笠松の誕生日が今から楽しみで仕方がなかった。
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