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短編集【黒子のバスケ】

第13章 甘い補習時間【黄瀬】



「なっ?!ち、ちょっと黄瀬くん?」
「ちょっとだけ、ダメ?」
「学校ではそういうことしないって約束でしょ?!」
「放課後じゃないッスかぁ、誰もいないッスよ?」
「誰もいなければいいってわけじゃないの!」

なんとか離れようともがく理央奈を抱きしめる腕に力を込める。
いくら頑張っても高校生の男女では力の差は歴然。
やがて疲れたのか諦めたのかわからないが、彼女は抵抗をやめた。
そしてどうしたのかと問いかけてくる。

抱きしめたことに特に理由はなかった。
ただ彼女が可愛かったから、抱きしめたかっただけ。
それをそのまま告げると理央奈の顔は一気に赤く染まる。

「か、からかわないでよ…」
「自分の彼女を可愛いって思うのは当然ッスよ?からかいなんかじゃないッス!」
「っ…そういうのが恥ずかしいんだってば…」

彼女を目で追い始めたきっかけはよく覚えていない。
そんなもの無かったのではないかと思うくらい、俺は自然と彼女を見始めた。
特に関わりがあったわけじゃないけれど、全く関わりがなかったわけじゃない。
その片手で数えられる程度の関わりを大事に大事に記憶に刻み、それを駆使してゆっくり絆を作ってきた。
それが実って、晴れて付き合い始めたのが2ヶ月前。

今でも彼女は、俺の言葉にすぐ顔を赤くする。
そんな初々しい反応の彼女が見たくて甘い言葉を囁いているのは俺だけの秘密だった。

そして今でも、俺は彼女を目で追い続けている。
きっとこれからも。
俺が彼女を好きな限り。

「ね、理央奈っち」
「…何?」
「俺、理央奈っちのこと好きだよ」
「っ…私もだよ、黄瀬くん」

夕日が差し込む教室で、俺と彼女の影がゆっくり重なった。
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