• テキストサイズ

短編集【黒子のバスケ】

第12章 男女の友情【緑間VS高尾】


「そろそろ時間がまずいな」
「え、マジ?じゃあさ、最後にあれ乗ろうぜ」

そう言いながら高尾が指差したのは観覧車。
成る程夕焼けを見ながら今日の感想を言い合うには絶好の場所。

しかしそこには大きな落とし穴が。

「2人乗りらしいよ、コレ」

説明書きを見た私の発言に目を見合わせる緑間と高尾。
その瞳の間で火花が散っていた。

ほんの少し漂い始めた嫌な空気に、私が口を開こうとしたその瞬間。

「真ちゃんさ、今日のおは朝で高いところは止めましょうって言ってなかったっけ?やめた方が良いんじゃない?」
「ふっ、案ずるな高尾…ラッキーアイテムを常備しているオレにそんなものは障害ではない。お前こそ、今日のアンラッキーナンバーは2だったぞ、2人乗りの観覧車はやめておいたらどうだ」
「ざ〜んねん、俺占い信じないから」

始まった口論。
互いに一歩も引く気はないようだ。

ここで私はいいから2人で乗りなよとか言うのは間違っている気がして、私は黙ってその論争を見守った。

「…こうなりゃ本人に決めてもらおう、真ちゃん」
「ああ、そろそろはっきりさせよう、高尾」

バスケの試合時に勝るとも劣らないこの緊迫した空気。
彼らの眼に浮かぶ鋭い闘争心。
ゴクリと唾を飲み込むと同時に2人が私の方を見たので思わず肩を震わせた。

「九条!」
「理央奈ちゃん!」
「は、はい!?」

「オレと観覧車乗ろう!」
「俺と観覧車に乗るのだよ」

高尾は私の右手を、緑間は左手を握ってそう告げる。
矛先がこちらに向いたことに焦りと驚愕はあるが、それを訴えることも許さないような彼らの真剣な眼差しに、真剣に答えたいと思った。

ゆっくりと目を閉じ、今日のことを思い出す。

朝高尾と電車で来た。

"このままでいて、あと少しだけ"

遊園地で緑間と歩いた。

"お前だからに決まっているだろう"

2人の新たな姿を見た。
どちらにもときめいたし、頬を熱くした。

でも、やっぱり、彼の方に私は惹かれているのだろう。
落ち着いて考えると、答えはすぐに出てきた。

緑間真太郎か、

高尾和成か。


私が手を握り返したのは…………
/ 101ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp