第7章 梅雨の彼【青峰】
互いの息が続くまで行われたそれは、私が大輝の胸板を叩いて限界を知らせることで終わる。
彼はいきなりのことで何も言えない私を見ながら意地悪そうに告げる。
「こういうことな」
その時彼は確かに笑顔だった。
ただし、私の望んでいたものではなかったが。
「……雨の日はずっとこれなの?」
「他に遊ぶものがねぇんだから仕方ないだろ、お前だって嬉しいだろ?」
「別に、嬉しくはない」
「素直じゃねぇ奴」
「お互い様でしょ」
売り言葉に買い言葉な口論。
そんな不毛なやり取りをしながらも私達の顔はすっかり明るい。
こんな雨の日なら梅雨も楽しいかな。
そう思った。
それはきっと大輝も一緒だろう、
その後暫くして止んだ雨を窓から見ながら、2人同時に落胆の声を出してしまっていたから。