第4章 その笑顔が好き【火神】
走り去っていく彼を呆然と見送る。
流れるような動作に顔を赤らめる暇もなかった。
いざ思い返してみると自分の頰に熱がたまるのがわかる。
「あいさつって…」
流石にそれが日本で通じないことくらい彼だってわかっているはずだ。
なら、今のは…
その続きを考えて首を振る。
流石に色々ありすぎて頭が混乱していた。
ただ1つはっきりしているのは、彼は私が思っていたようなただ天然の可愛い人ではないということ。
そんな新しい一面にさえこんなにもときめいていては身がもたない。
とりあえずいつまでも外にいても仕方ないので冷静になろうと自宅に入った。
明日からどう彼に接すればいいんだろうと、頭を抱えながら。