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私はSですが?何か?①

第3章 ~夏がはじまる!~彼が急接近☆★☆


いつもは車なのに歩いて向かう。
そこには綺麗な河川敷が広がった。

川のせせらぎが聞こえる所まで来て2人は座った。
周りを見渡すと少し遠くでサッカーをする子供達がみえる。

「俺。。。ここでサッカーと出会ったんだ。。。いつも家で何かあるとさ、ここに来てたんだよ。。。そしたら『一緒に遊ぼー!』って声を掛けてきたのが秀明。なんか嬉しくって夢中で遊んだんだょな~。。。」
静かに語り出す雅也。
遠くを見つめながら優しい横顔。
「そんなに前から秀明くんと一緒だったんだね。。。だから仲良しなんだ。。。」
素直に話す雅也につられる。
すると膝を抱えて頭をのせる雅也。
顔だけが奈帆の方を向き、
「今日で。。。専属も終わりだな。。。もう決めたか。。。?」
見上げながら話す雅也に目を合わせる事が出来ない。
「まだ。。。決めてない。。。多分、決められない。。。」
奈帆はうつむきゆっくり話す。

「。。。そっか。。。」

静かになる河川敷。 
雅也の手が奈帆の指を捉える。

「でも。。。俺は。。。側で見て欲しい。。。居て欲しい。。。」

試合の時とは全く別人のような甘い声。
触れてる指が熱をおびる。

「うん。。。」

奈帆は小さく頷く。 
2人は暫く夕暮れの中川を眺めていた。

日が沈み2人はゆっくり家に向かう。
「今日から自分の家だよな。。。送るよ。。。」
当たり前のように過ごした雅也の家。奈帆も寂しさが募る。
繋いだ手から伝わる温もりを感じながら歩く奈帆。
結構歩いたがあっという間に家の前に着く。
奈帆は鞄からノートを2冊手渡した。
「これ、渡しておくね。。。」
2冊あるノートを不思議そうに見つめる雅也。
中を開くと朝練の内容が記されていた。
「お、オマエっ。。。いつから。。。」
焦る雅也に奈帆は
「専属だから。。。何時でも。。。でもこれからも無理しないでね。。。じゃあ、帰るね。。。」
張り裂けそうな胸を押さえながら奈帆が家に入ろうとしたとき。
雅也の手が奈帆を掴み、引き寄せて抱きしめる。
「行くなよ。。。俺と。。。居てよ。。。」
子供のような声に奈帆の心は辛くなる。
雅也が奈帆の顔を覗き込み、
「好きだ。。。オマエも好きだろ。。。言わねーなら。。。」
雅也の顔が近付く。
奈帆は雅也を振り払い家に駆け込んで行った
。。。
そして奈帆は大粒の涙を流した。。。

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