第12章 砂の里—四代目風影—
わたしが思考を終えたところで、ルウさんが一瞬振り返って、声をかけてきた。
「なぁ」
「何ですか?」
「風影ってどこにいるんだ?」
・・・・・・・・・・・・は?
わたしは、駆けていた足をだんだんと遅めていき、やがて完全に止めた。
ルウさんも、わたしの少し前で止まる。
わたしの心は荒れていた。
ごうごうと嵐が吹き荒れ、建物も木もなにもかもが吹き飛んで、ぐるぐると空を飛ぶ。
つまるところ、わたしは怒っているのだ。
何のただ闇雲に突っ走って、わたしの体力を無駄にした、彼に。
「ねぇルウさん」
思った以上に低い声が出た。
ルウさんがびくっと反応する。
「・・・・おう」
「あんた何やってくれてんの?」
「・・・・すまん」
「すまんだぁ?んなんですむと思ってのか?あ?」
「・・いや、その」
「いやそのじゃねぇ!あんたわすっこんでろ!」
ばっかーん、と怒鳴ると、ルウさんはがくりと膝から崩れ落ちて、どんよりした空気を発しだした。
あ、やばい。
思わず昔の口調が。
いやね?
脅しをかけるときって、こういう言葉遣いの方が効くんだよ。
あっはっはー。
わたしは悪い子だったんですねぇ、はい。
しかーし!
人間だれしも過ちを犯すもの!
過去を振り返ってばかりではだめなのです!
ええそうですとも。
ええ、ええ。