第12章 砂の里—四代目風影—
5日間。
わたしたちは砂の里に向かって移動し続けた。
乗り物はなにもないから、自分の足での移動だった。
これがなかなかきつい。
終わった今となっては、謎の達成感があるが。
そして現在。
砂の里入り口付近。
といっても、見張りからわたしたちの姿が見えないくらいには遠い。
ここら一帯風がなく、とても穏やか。
月明かりに照らされて、砂がきらきらと輝いていた。
「おい、見張りいんだけど、どうやって入るんだよ」
「殺すのはどうですか?」
「・・・物騒だなおい」
ルウさんに、呆れた顔をされた。
そんなに物騒かな?
うーん、昔(前世のとき)から邪魔なものは消そう!みたいな感じだったからなぁ。
それが、前の世界ではちょっとした暴力だったのが、今の世界で殺しに変わっただけなんだけど。
あっはっは。やっぱわたしちょっと変わってるかも。
ふふ、と少し笑えば、視界の端に、月明かりに照らされたルウさんの顔が引きつっているのが写った。
引かれてしまったらしい。
笑顔が不気味だったのだろうか。
「じゃあ、俺がどうにかする」
「できるんですか?」
「そんな疑惑たっぷりに言わなくたっていいだろ・・・。できるっての」
「わかりました。じゃあ里の中に入ったら、まっすぐ風影がいるところをめざしてください」
「了解・・・ってなんでお前が仕切ってんの?」
「ルウさんが情けないからでは?」
「・・・前から思ってたけど、お前俺にきつくねぇか?」
「はて?そんなつもりはみじんもないですがねぇ」
おほほ、と優雅に笑ってみせれば、「嘘くせぇ」と言われてしまった。
まあ、言葉遊びの一環というものである。
わざと嘘くさくやっているのだ。
それにはきっとルウさんも気づいていることだろう。