第12章 砂の里—四代目風影—
暗闇に包まれた森。
ざわざわと揺らぐ木々が、通るものに恐怖を与え、
どこからか聞こえてくる鳥の鳴き声もそれを増長させる。
そんな森の中を、わたしはルウさんと二人で歩いていた。
「で、これからどこに向かうんだ?」
・・・え。
「・・・ルウさんいく当てないんですか?」
「あ?そんなんあるわけねぇだろ」
あっけからんと、当然のように言うルウさんに絶句する。
だってありえない。
自分から誘っといてなんのプランもないとか。
どうなのそれ?
・・・・・今更言ったって仕方ないけど。
いいたくもなるよ、あまりの悲惨さに。
「あー、じゃあわたしの行きたいところでいいですか?」
「へぇ。いきたいとこあんのか。それって俺が助かるのに繋がりそうなところか?」
「もちろんです。わたしが行きたいのは砂の里なんですけど」
「砂?」
そう、砂。
砂と言えば、我愛羅がいるところだ。
わたしのかねてからの計画、我愛羅を助けるという目的を果たすのに、この旅はちょうどいい。
だから、砂に行きたいと言っているのだ。
「砂になんかあんのか?」
ルウさんがそう聞いてきたので、我愛羅の存在と、それによる忍界大戦への影響を説明する。
「なるほど。我愛羅ってやつを守れれば、忍界大戦は起こらないのか」
「確実ではないですけど、起こる可能性は減ると思います」
「ふーん。・・・で」
「で?」
「なんでミユキはそんなこと知ってんだよ」
わたしは押し黙った。
ルウさんはそれを不思議そうにみている。
わたしがなんで知っているか、という問いの答えは、前世で漫画を読んだからだ。
しかし、そんなことを言えるはずも、信じてもらえるはずもない。
「内緒です」
「内緒って、お前なぁ」
呆れたようにため息をつかれた。
だってしょうがない、言えないんだから。
「ま、いいさ。誰にでも秘密はあるもんだしな」
そういってくれると助かる。
「ありがとうございます」
「おうよ」