第11章 旅に出よう
「ミユキ、言えないの?」
ミコトさんの問いに対して、「そうじゃないけど・・・」と口ごもっていると、ふたりがいぶかしげな顔になる。
「その人は大人?」
「は、はい。たぶん・・・」
「たぶん?」
「・・・・」
要領を得ないわたしに、ミコトさんは呆れ顔である。
と、そのとき。
とつぜん、わたしの前に黒い塊が降り立った。
黒髪。
真っ黒なローブがふわりと浮き、こちらを振り返ったその瞳は、蒼眼。
その人は
「ルウさん!?」
「よおミユキ。迎えに来てやったぞ」
意地悪そうに笑う彼は、間違いなく、これから旅に出る相手、その人だった。