第11章 旅に出よう
結局わたしは
「わかりません」
ひどく曖昧で不確かな、答えとも言えぬ答えを出した。
案の定、ミコトさんもフガクさんも不思議そうな、いぶかしげな顔をしている。
「わからない?」
「・・・はい。わかりません。その。前はあったんですけど、今はその理由とちょっと違う気がして」
「そうねぇ・・・」
「理由がないならいかなくていいだろう」
「あなたはちょっと黙っていてくださいな」
「・・・・」
おおう。ミコトさん強い・・・。
フガクさんのこと黙らせちゃったよ。
こんな人だったけ?
何年か一緒にいるけど、知らなかったな。
意外な一面発見、ってとこか。
「旅には、一人で行くの?」
「あ、いえ。二人で行きます」
「二人って・・だれと?」
わたしはそこで口をつぐんだ。
「ルウさん」のことを二人に知らせていいのか迷った。
だってきっと、彼はこの里の人間じゃないから。
理由は3つ。
一つ、忍のような動きをしているのに、額当てがないこと。
二つ、里で見かけないこと。
三つ、何となく隠れるような行動をしていること(黒ずくめだし)。
・・・雰囲気で判断したってのもあるけど。
うん、でだ。
里の人間ではないであろうルウさんのことを言っていいものか、とそういうわけである。
里の人間じゃないと知ったら、二人は警戒するだろうし、旅になんてさらに行かせてくれなくなりそうだ。
しかもわたしは、ルウさんの素性をほとんど知らない。
知っているのは名前と、容姿。
それすらも、間違っている可能性だってある。
そんな不確かな人間に、子供を預けるだろうか。
しかも、今は亡きわたしの両親の、フガクさんたちにとってみれば同じ一族の、娘だ。
おいそれと許せるものではない。
と、思う。
自信ないけど。