第11章 旅に出よう
ちょっとがっくりしながらも、わたしはあきらめない。
当たり前のように、フガクさんは折れない。
堂々巡りの議論が続いた。
とそこへ。
すっと襖が横にずれ、ミコトさんが入ってきた。
「すみません、ミコトさん。うるさかったですか?」
「いいえ、うるさくはないわ。でも気にはなるわね」
とおかしそうに笑うミコトさん。
「それで、どうしたの?」
「はぁ。その、わたしは旅に出たいのですが、フガクさんに反対されていて」
「旅?」
「はい」
「ミユキは実戦だってまだなんだ。危険すぎるだろう」
頑として反対の姿勢を崩さないフガクさんに、ミコトさんが苦笑する。
わたしもため息をついてしまいそうだ。
その様子を見ていて思う。
なんとなく、だが、ミコトさんは反対していないような気がする。
あくまでなんとなく、だが。
「ねぇ、ミユキ」
急に名前を呼ばれ、思わず「はい」と返事をする。
「あなたはどうして旅に行きたいと思ったの?」
何故。
何故か。
最初はルウさんに誘われ?て、断れず、仕方なく了承した。
そのときは自分のために、「第四次忍界大戦阻止」に繋がるから、と理由をつけた。
旅をする中で、同士をつくり、暁の活動をつぶせれば、阻止の確立は上がるだろう、と。
・・・すべて後から考えたんだけど。
うんまあいいよ。
えっと。じゃあさ、今はどうだろう。
変わって・・・いるのだろうか。
だってそうだ。
ルウさんを呼ばなければ、旅になんて出なくてもよかったし、時間が経ってあのときの甘えたような頼み方は忘れてしまったから、断れると思う。
なんで呼んだ。
なんで断らない。
なんで・・・こんなにも、一生懸命頼んでいるのか。
きっと、答えはそこにある。