第11章 旅に出よう
「よし。じゃあ旅に出るかー」
重い腰をあげるかのような、仕方なく行くみたいな言い方。
行きたいといったのはそっちじゃないか。
「そうですね。準備するので少し待ってください」
「おおいいぞ。ところでよ、ミユキ」
「なんですか?」
「親はどうやって説得したんだ?」
「・・・・・・・・あ」
完全に忘れていた。
「忘れてたって顔だな」
はっ!ルウさんに気持ちを読まれた!不覚!
「なんか失礼なこと考えてないか?」
・・・一度ならず二度までも!
ルウさん・・侮れん。
いやこんな現実逃避してる場合じゃないんだけど。
「今から行ってこい」
「いや無理ですよ」
ぶんぶんと首を横に振るが、ルウさんは「行ってこい」の姿勢を崩さない。
行っていないわたしが悪いんだけどね。
うんそれは・・・すみません。
「別に大丈夫だろ。お前の親なんだから」
ルウさんが呆れ顔でつぶやく。
「えっと・・・どういうことですか?」
「どうこもうも、お前のやりたいこと、邪魔するような奴らなのか?お前の親
は」
「・・・違います」
「だろ。だったらすげぇ頑張って頼みゃなんとかなんだろ」
そっか。
そう、だよね。
そうだよ。
ルウさんいいこという!
「わたし今からいってきます」
わたしはキリリと眉を上げ、颯爽と歩き出した。
「いってら」というルウさんの気の抜けた声を背に受けて、家をめざす。
心には”信じてる”
その言葉しかなかった。