第11章 旅に出よう
さわやかな風が吹き、葉が色づいてくる、今日この頃。
アカデミーを卒業したわたしは、ルウさんを呼ぼうとしていた。
連絡手段は特にない。
が。
ルウさん曰く、呼び出そうという意志をもって名前を呼べば、飛んでくるとのこと。
ということで呼んでみる。
「ルウさーん、卒業しましたー」
「おっ、やっとか」
「ま、くるわけな・・って早!」
まじかいな!
ほんとに来たよ!
木の陰からひょっこりって。
言い忘れていたが、ここはいつも修行している森の中だ。
家でやって、こなかったときの恥ずかしさを考えたら、家では出来なかった。
そもそもフガクさんたちには、ルウさんの存在を知らせていないから、というのも理由としてある。
「待ちくたびれたぞ。お前の実力ならアカデミーのレベルは優に超えてるだろ。なんで卒業できないんだよ?」
「卒業試験が一年に一回しかないんですよ。力もセーブしてましたし」
というかわたしの実力知ってんのかいな。
わたしルウさんの前で戦ってないよね?
修行もしてないし。
・・・そういえばわたし、実戦経験、ないな。
修行ばっかりしてて、イタチ兄さんたちと遊び感覚で、ちょっと戦ったことはあったけど、それはあくまで遊びだ。
手加減してくれていたに違いない。
もしかして、入学式の時のが初実戦・・・?
・・・・・・・・
あ。あっは、ははー。あははははー。
実に笑えない状況だ。