第7章 あやしい人・パート2
昔からそうだ。
わたしは甘えられると弱かった。
後輩にしても先輩にしても、誰であっても、甘えられて頼まれると断れない。
そんなやっかいな性格をしていた。
そのせいだ。
わたしはもう、孫の願いを断れない。
未だにわたしを見つめ続ける孫を、しっかりと見つめる。
そして切り出した。
「わたしは、アカデミーを卒業します」
「・・・やっぱ一緒に行ってくれねぇの?」
残念そうに言う彼がなんだか犬のように見えてきた。
末期である。
「そうはいってません。アカデミーは、6歳で入ります。そして一年以内に卒業します」
「どういうこ・・・「そのあと、旅に行きます」・・・は?」
「旅、というよりはお出かけですね。基本は木の葉の中で人脈をつくります。他里にも行きますから、退屈はさせませんよ。だから、それまでの間は、旅をしたいなら、一人でお願いします」
わたしに出来る最大限の譲歩。
ちょっと譲歩しすぎた気もするけど、まあいい。
わたしは譲歩した。
彼はどうでるのか。
彼は、あごに手をあてて、うんうん唸っている。
しばらしくし彼は起き上がった。
わたしの方をぱっと振り返って、
「わかった。その条件をのむ」
と了承の返事を返した。
「じゃあ「でも」・・・でも?」
「でも、アカデミー卒業するまで旅は我慢する」
な。
なんと。
なんということだ。
我慢すると。
そんなにわたしと旅に出たいのか!
すこし嬉しかったり、しなかったり。
・・
しかし、そんな気持ちはひた隠し。
わたしはゆっくりとうなずいた。