第7章 あやしい人・パート2
「んでさ、今俺を助けるために具体的な案とかねぇの?」
質問の意味がいまいちつかめず首をかしげる。
「ほら、あれだろ。俺って戦争で死ぬんだから、戦争自体をなくせば一番いいわけで。そのために今できること、とかあんだろ?」
うーん、あるにはあるけど。
でもなー。
「具体的な案・・とかは、ないですね」
我愛羅助ける、ってことしか考えてないし。
「じゃあさ、旅しようぜ」
・・・・・・は?
旅?
旅って、え?
松尾芭蕉とかがやってる旅?
「よし、善は急げだ。いくぞ」
「いやいやいやいや、行きませんって」
手をぱたぱたと横に振って拒否すれば、唇をとんがらせた不満げな顔で返された。
「なんでだよ」と言っていそうだ。
「旅にいくなら一人でいってください」
「なんでだよ。一緒に行こうぜ」
「無理です。わたしまだ4歳ですよ?忍術もそんなに使えませんし、足手まといでしかないと思いますけど」
「そんなもんべつにいいって。俺が守るし」
・・・・・イケメンな台詞ですね!
さらっと言われちゃったよ。初だよ初。
はぁ。
ま、そんな台詞どうでもよくて。
うーん、どう頑張っても旅はなー。
ほらわたしってさ、一応4歳児で、フガクさんの家に預かってもらってる身だからさ。
勝手に「旅でまーす」とかって出てったら迷惑きわまりないよね。
「・・・・無理です」
「行けるだろ。てかいく」
「一人で行ってください」
「一人じゃつまんないだろ。何したらいいかもわかんねーし」
孫は両手を首の裏で組むと、ごろんと仰向けに寝転がってしまった。
そして、きゅっと少し眉を下げて
「な。頼むよ。一緒に行こうぜ」
と甘えるように、願うように、寂しさを含ませて、囁いてきた。
その瞬間わたしは落ちた。