第7章 あやしい人・パート2
わたしはもう一つため息をはくと彼に近づき、問いかけた。
「あなたは誰なんですか?」
「俺?」
そうだなー、と悩む素振りをみせる。
彼はにやにや笑うと、「誰だと思う?」なんて悪戯っぽく尋ねてきた。
「アドさんの、血縁者」
彼が本当に血縁者ならアドさん、といっても分かるはずだ、と、正直に思ったことをいえば、彼は笑みを深めた。
「・・・・・頭も悪くないな。ああそうだ。俺はお前の言う『アドさん』の孫だ」
「孫・・・?」
孫、まご、マゴ。
孫。
「ほんとに孫ですか?」
「ああ。嘘ついてどーすんだよ」
ほら、と奴はかぶっていたフードを取ってみせた。
とたん、風にふわりと黒が浮いた。
ゆっくりを開いた眼は青。
空のような青だった。
全体的に見ると何となくアドさんに似ている。
髪の色も、目の色も違うが、それはきっと違う血筋がはいっているからだろう。
確かに、孫と言われても納得できる。
そうか。彼はアドさんの孫、つまり。
わたしが、助ける相手。
・・・・
ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!
うううう、嘘だろう!
何で彼が、孫がここにいる!
てか孫って男か!
勝手に女だと思っていたよ!
「あっはっは。まあ落ち着け」
「落ち着いていられるか!」
「・・・あんたって案外口わりーんだな」
あ。
やばい。勢い余って・・・。
「気にすんなって。そっちの方が気が楽だし、敬語はうっとうしい」
さようですか。
なんていうか、うん、寛大な人で良かった?