第7章 あやしい人・パート2
奴の姿は怪しい。
全身をマントで覆い、フードを深くかぶっているせいで顔は見えない。
声は低いため、男性かと思うが、実際はわからない。
「とりあえず、話ししようぜ。座れよ」
この状況で座れ?
座れるわけがない。
そもそもここは、うちはの家だ。
奴に座れ、などと言う権利はない。
そんな心の声は届かず、やつはくないを抜いて、わたしに背を向け座ってしまった。
あやつはわたしをなめてかかっているのだろうか。
幼児であるわたしには何も出来ないと。
心外だ。
わたしは強くなった。
何も出来ないわけではない。
少なくともあの時よりはーーーーーーーあのとき?
そのときわたしの脳裏に、「デジャブ」という言葉がよぎった。
あの時とは、わたしが一歳の時。
第四次忍界大戦と止めてほしいと、アドさんから頼まれたときだ。
アドさんはあのとき、彼と同じような行動をとった。
アドさんは彼と同じように、わたしの警戒をものともせず、座ったのだ。
偶然か。
きっとわたしの推測は間違っている。
目の前の彼がアドさんの血縁者だなんてそんなこと、あるわけがない。
「おい、はやくしろよ」
彼は不遜にもわたしをせかしてくる。
そんな彼に思わずため息がもれた。
仕方がない。話をするとしよう。
なんだか気が抜けて、警戒しているのがばからしくなってきたからさ。
・・・アドさんのときもこうだった気がする。あれ?違ったけ?