第6章 はたけカカシ・・・・・?
どうしようかなー、と考えながら歩いていると、いきなり腕を捕まれた。
驚いて顔を上げると、そこには白い狼がいた。
・・・なわけない。
カカシだ、カカシ。
カカシのお父さんが木の葉の白い牙だから、白い狼かな?とかそういう変な発想をしただけである。
今は関係がない。
「カカシさん、どうかしたんですか?」
カカシは、腕をつかんだまま、うつむいて黙っている。
カカシさん、ともう一度呼びかけると、ようやく顔を上げてくれた。
「・・・おくるよ」
小さなつぶやき。
わたしには聞こえた。
「おくる?」
「君の家までおくる。小さい子一人で出歩くなんて危ないよ」
その言葉には異議を唱えたい!
出会ったときから子供扱いしてなかったのに、何故急に子供扱いなんだ!
初志貫徹。
意志は軽々しく曲げるものじゃない。
「大丈夫です。行きもひとりだったんで」
「帰りも大丈夫だとは限らないよ」
「大丈夫です、もしものことがあっても自分の責任ですから」
「・・・・もしものことがあったら、親が悲しむんじゃないの」
「親は・・・いません」
わざと気まずくなりそうなことをいうと、カカシは、もくろみ通り、申し訳なさそうな顔で黙った。
見えるのは目だけだけどね。
だから正確には申し訳なそうな目、あるいは雰囲気、だね。
「それじゃあ、わたし帰ります」
若干面倒くさくなりながら、言葉をかけ、一歩踏み・・・出そうとしたが、できなかった。
腕がまだ捕まれたままだったようだ。
「離してください」
「それはできない」
「離してくれないと帰れません」
「・・・おくるって」
しつこい。
カカシってこんなしつこい人だっけ?
あー、めんどくさい。
「わかりました。いいですよ、家まで送ってください」
あきらめてため息交じりに了承すると、カカシは安堵したように息をはいた。
そうしてわたしたちは、一緒に帰ることとなった。