第6章 はたけカカシ・・・・・?
わたしから話しかけるにしても、どうしたらいいのか。
とりあえず、観察して、会話の糸口を探そう。
と、じーっと見つめてみる。
カカシは視線に気づいているはずなのに、目をあわせない。
そのときわたしは気づいた。
カカシの目に、光がない。
どこを見るでもなく、ぼうっとしていて生気がない。
そういえば、カカシには暗ーい過去があった。
カカシは、リンを自分の手で殺してしまったことで、病むんだ。
それで火影様がどうにかしようと、カカシを暗部に入れる、が、うまくいかず、アカデミー卒業生の担当上忍となった。
てことは、カカシさん・・・・今、傷心?
つけ込むチャンス?
とか考えたら悪い奴みたい。
わたしは悪ではなく、正義です。
「あのさ」
急にカカシの声が聞こえてきて、はっとする。
指先で机をなでながら、カカシはさらに続ける。
「君はどうして俺に相席したい、なんていったの?」
「それはだから」
「さっきのは、建前でしょ。本当の理由はなんなの」
さすが、と感心する。
よく見ているなぁ、と。
本当の理由ね、それはいえないよなぁ。
代わりと言ってはなんだけど
「あなたと話しをしたかったからです」
「俺と?」
「はい」
嘘はいっていない、これも本当の理由の一端だ。
「なんで、と聞いても良いのかな?」
「かまいません。ただの直感ですから」
「直感?」
「はい。あなたと話した方が良い、という直感です」
自分から聞いたのに、カカシは「ふーん」と気のない返事をする。
なんとなくいらついて殴りたくなるが、我慢だ。
思考は、前向きに。
そうきっと。
彼はわたしとの会話の糸口をさがしている。
わたしが自分から話さないのを見かねて、話しかけてくれたんだ。
そうに違いない。
うんうん。
そもそも直感っていわれたって、ふーんとしか返せないよね。
うんうん。
でもどうしよう。
何話したらいいんだろう。
ここに来て、わたしは自分の計画性のなさを呪った。