第5章 忍者になりたい
そんなふうに半年を過ごした。
自分でもよく続けたと思う。
本棚の本は、すべて読み終わった。
すごい達成感。
それを受け、フガクさんに「全部読んだぜドヤァ」と言ってやろうと思ったそのとき、フガクさんが現れた。
「棚の本を全部読んだそうだな」
見下ろすような視線。冷たく感じる無表情。
今まで何も言ってこなかったくせに、読み終わったから来たって?
・・・なんかこの人むかつくっ!
そんな感情を押し殺して、頷く。
「では、修行をはじめよう」
その声に、ぱっと顔をあげると、フガクさんが薄く笑っていた。
もう珍しいとは思わない。
フガクさんは結構笑う人だ。
「よろしくお願いします!」
わたしは、さっきまでの怒りも忘れ、元気に答えた。