第5章 忍者になりたい
「・・はい、読めます」
「前の両親に教えてもらったのか?」
・・・どうするわたし。
肯定しとくか。
「はい」
「ほう。どの程度まで読めるんだ」
どどどどうしよう!
ほんとのこと言って良いのか、いやでも、それだとおかしいよね。
「嘘はつくな」
言いよどむ私の考えを読んだかのような、フガクさんの声。
心読んでないよね?
「ほとんど、読めます」
フガクさんの視線という名の圧力に耐え切れず、白状すると、すっと、目が細められた。
疑うような視線に、背中が汗をつたう。
いやいや、わたし嘘つけないんだよ!
頭よくないし!
「本当か?」
「はい」
フガクさんは何もいわない。
わたしは震えながら待つことしかできない。
震えは気づかれているのだろうか、気づかれていないと良いのだけれど。
黙っていたフガクさんが、動いた。
無言で本棚に近づくと、何冊か本を抜き出して、私の前においた。
「すべて文字が読めるなら、これを読め」
「・・・え?」
「本当は、森でやりながら説明しようと思っていたが、文字が読めるのなら別だ。これを読んで、学べ。修行はそれからだ」
それだけいうと、フガクさんはわたしをおいて戻っていった。
嘘だろ・・・?
まさかの実践お預け?
どうしてこうなった!