第4章 九尾襲来の日。それから。
しばらくそうしていると、いきなりフガクさんがふっと笑った。
え。笑った・・?
わたしが困惑したようにナキさんを見上げると、彼は優しい顔で微笑んでいた。
まるで、大丈夫、と言っているかのようだ。
いやなにがですか。
何があなたをその笑顔にさせるんですか。
「あの、どうか、しましたか?」
わたしが問えば、
「いや。なんでもない」
と、どこか満足げにいって、再び席に着いてしまった。
謎だ。
フガクさんの謎の言動のあと。
ナキさんは「ミユキちゃんのこと、よろしくお願いします。ときどき様子を見に来ます」と言って、あっさりと帰ってしまった。
家に入って10分も経っていない。
わたし、一応外見は2歳児なんですが、置いてっていいんですか。
そうですか。
はぁ、別に困りませんけど。
もう少しくらいいてくれても、とは思う。
「さて、じゃあミユキちゃん、これから一緒に過ごすことになる家族を紹介するわ」
・・紹介?
あ、そっか。
わたしはまだこの人たちの名前を聞いてないや。
あ、危ない。うっかり名前を呼んでたら大変なことになっていた。
ふぅ。