第20章 サバイバル演習
「カカシさん。すみません、遅れてしまって」
ほんとは遅れてないけど
「気にしなくていーよ、「「あんたがいうな!」」・・・じゃ、今日の課題ね」
最初の印象のせいか生徒に邪険にされるも、カカシさんは小さくため息を吐いただけで落ち込むこともなく、後ろ手に、二つの鈴を取り出した。
赤いひもに、銀の鈴。
「本日の課題、それはこの鈴を俺から昼までに奪い取ること。奪えなかったものは昼飯なし。あの気にくくりつけた上で俺が目の前で弁当食うから」
にまにまっとカカシさんは意地悪そうな顔で笑う。
ほんと、性格悪いねぇカカシさん。
「ちっ、朝飯抜いてこいってそういうことだったのかよ」
サスケがぼそっとつぶやいた。少し見上げる顔はかすかに歪んでいて、やっぱり年相応だなぁと思わせる。
「緋月は、気づいてたのか?」
サスケがそう聞くから、わたしは肯定も否定もせずににこっと笑っておいた。
気づいていた、ではなく知っていた、だなんて、言えるわけがないのだから。
「でもちょっと待って!なんで鈴二つだけ?」
「んふー。鈴は二つしかないから最低一人は丸太行きってわけ。そいつは任務失敗ってことで失格だ。アカデミーに戻ってもらう」
過酷すぎるルールに三人が息を呑む。
わたし?
わたしは知ってますから、とくに驚きもなくぼぉっとしてますよ。
暇だ。
さっさと演習はじめようよー。
「……手裏剣使ってもいいよ……殺す気で……」
あーカカシさんがなんかいってるよー。どーでもいいから早く帰りたいー。
心の中でぶうぶう文句を言いながら試験が始まるのを待っていると、
急に早く動く気配がこちらに近づいてきたのを感じ、わたしは思わずその気配にクナイをもって応戦した。
金属の共鳴する音が周囲に広がる。
「っ、緋月!」
応戦したわたしの目の前には、カカシさん。
わたしのクナイと、カカシさんのクナイが交差して、うしろにはナルトの気配。
あれ?もしかして早く動く気配ってカカシさんだったの…?
おうふ。