第19章 原作開始
そんなわけで決まったわたしの七班行きだが、わたしはこのことをサスケに伝えてはいない。
なんでかって?
そりゃもちろん驚かせたいからだよ。
人のびっくりする姿って面白いんだよね。
え?趣味が悪い?
そんなことはないよ。
普通普通。
「おーい、ミユキ」
「え?」
「もうそろそろいくよ」
「あ、はい」
そうそう。
今わたしはカカシさんと一緒にいる。
ちょうど甘味屋を出て…ナルトたちのところへ向かっているところだ。
約束の時間より大幅に遅れて。
どうして甘味屋なんかにいるか。
答えは単純。
カカシさんに誘われたからだ。
「甘味屋にいかないか」って。
ナルトたちのところへは、カカシさんと一緒に行きたいと思っていたから、わたしはその誘いを受けた。
…別にそんな理由がなくても、カカシさんの誘いはたいてい受けるけどね。
「そういえばミユキって好きな食べ物とかないの?」
唐突にカカシさんがわたしに問いかける。
好きな食べ物…キャラメルとか?
いやこの世界にはないか。
あ、さっき食べた団子、おいしかったなぁ。
「好きな食べ物…団子です」
「他は?」
他?
んー。
「うどん、ですかね」
「うどん?」
「はい。特に暖かいのが好きです」
お湯入れるだけのカップ麺もおいしーんだよね−。
「・・・へぇ。それはいいこときいたな」
カカシさんはにやりという効果音がつきそうな表情で意地悪く笑った。
顔の半分以上をマスクで覆っているにも関わらず、悪巧みをしていると思わせるような笑顔とは。
本当、カカシさんはいったい何を考えているんだろう。
わたしやサスケに害がなければいいけど。
とそんな会話をしているうちに、ナルトたちの待つ教室が見えてきた。
そういえば、
原作では、カカシさんが遅れてきた仕返しにナルトがドアの上の方に黒板消しを仕掛けるという、なんとも古典的なトラップを仕掛けていた。
よし、カカシさんを先にいかせよう。
「カカシさん。教室、先に入ってください」
「なに?特別なことでもあるの?」
「サスケを驚かせたいんです」
「はぁ、そういうことね」
カカシさんはため息を吐きながらも、いいよ、と了承してくれた。
ちょっと教室を警戒させちゃったかな、と思ったりしないわけでもないが、気にしないことにする。