第18章 閑話345
その日は手裏剣術の授業だった。
いつもの授業と同じようにイルカ先生の近くで生徒達をみる。
「あー、そこ。もっと手首立てて」
「こうですか?」
「そうじゃなくてね、こっち」
「はい!」
うんうん。素直だね。いい子。
気づいたことをいいながら、聞き入れられたことに満足して頷く。
えーっと次はー…
サスケか。
サスケは、イルカ先生に名前を呼ばれて、みんなの前に出てくると、すぐに手裏剣を数枚かまえて丸太に向かってそれらを投げた。
サスケの手から放たれたそれらは、きれいな直線を描いて丸太へと突き刺さる。
おー、さすがイタチ兄さんとわたしの弟。
うまいね。
いうことといえばもっと早く投げろってことくらいだよ。
本来ならアカデミー生にいうことじゃない。
「サスケ、もっと腕の動き小さくして。あともっと力込めてね」
ま、いうんだけど。
サスケもこういうこと言われてうれしそうにちょっと頬を染めるんだからよくわかんないよね。
注意されて嬉しいなんて、わたしにはよくわからんわ。
次はナルト。
サスケに対抗しているらしく、ものすごい気合いの入りようだ。
「いくってばよ!」
かけ声をかけてほうったその手裏剣はばらばらとばらけてあらぬ方向に飛んでいく。
結局的である丸太に刺さったのはたったの1つ。
というかわたしの方にも飛んできたので反射的にクナイで打ち落としてしまった。
あっぶないなぁ。
生徒に当たったらどうしてくれるんだ。
責任取るのはこっちなのに。
あ、でもクナイが刺さったくらいじゃあ何も言われないか。日常茶飯事、ってことで。
「こらナルト!」
イルカ先生の怒号が響く。
ナルトは首を縮めた。
あー、あれだね、ナルトはそもそもの形がなってない。
「ふん」
「こら、サスケ。鼻で笑わない」
いくら自分と実力がかけ離れてるからって見下すのはいかんよ。
「くっそ」
ナルトは悔しそうだね。
ま、それもそうか。
原作通りサスケのことをライバル認定してるみたいだし。
そんな相手からこんな扱いを受けるのは、まあ結構むかつくと思う。
だったら
「…ナルト」
「何だってばよ、ミユキ先生」
「サスケに勝ちたい?」
「ミユキ……?」
「当たり前だってばよ!」
うん、なら。
見返さなきゃね。