第17章 ゆくえ
教室を出て、しばらく抱きつかれた格好のまま歩いてみてもサスケが離れる気配はまったくといっていいほどなかった。
そーんなに抱きつかなくても離れないけどな−。
不安だったのかなぁ。サスケ。
あ、現在進行形で不安なのか。
なるほどねー、と一人で納得してさらに歩く。
そしてついには校舎の外に出てきてしまった。
わたしは日の当たらない木の陰を選択して、そこへと入り込んだ。
そこでやっと、サスケをぎゅうっと抱きしめ返すと、サスケもまた腕の力を強めた気がした。
実際にはもう限界まで強く抱きしめてたみたいで、あんまり変わんなかったけど。
しばらくすると、サスケも落ち着いたのか、背中にまわされていた腕の力が弱まった。
しかし依然として顔はわたしの肩あたりにつけたまま。
黒くまっすぐな髪に、さらさらと指を通して頭を撫でると、サスケはわたしにすり寄るように頭を傾けた。
なんか猫みたいで可愛い。
わたしが頭をなで続け、されるがままの状態にあるサスケはぽつんと言葉を零した。
「今まで……どこいってたんだよ…」
零した声に力はなく、弱々しい。
このままサスケが消えてしまうんじゃないかと錯覚するほど、サスケは弱っていた。
その原因がわたしやイタチ兄さんだと思うと、気まずくてもうサスケの顔もまともにみていられないので考えないようにする。
「里の外でいろいろと?」
「それは聞いた…。父さんと、母さんに。旅…してるって…」
ほうほう。
ちゃんとわかっているんじゃあないですか。
なら何故?
「俺…もうひとりなんだって思ってた…」
・・・あぁ。なるほど。
簡単に言うと、行き場のない感情があるってことかな。
無条件で信頼してた人を一気に全員失って、誰も頼れる人がいなくなったとこ
ろに何故か生きていて久しぶりに会ったわたしが登場。
内心心細かったのがわたしの登場によって解き放たれて
しかも今まで凍結していた感情までよみがえって、頭の中ごっちゃごちゃ、みたいな?
うん、そんな感じだろう。