第17章 ゆくえ
「では、ミユキ先生、自己紹介をお願いします」
先生にうながされ、わたしは半歩前に出た。
「初めまして……じゃない人も居るけど、初めまして。うちはミユキです」
「うちは?」「全員殺されたんじゃないの?」
「なんで」「生き残り?」「この間の事件…」
わたしが名前を言うと飛び交う憶測の声。
しかし声事体は小さく、わたしが再び話すのに支障はなかった。
「わたし自身、9歳とまだ幼く、みなさんとそう変わりませんが、頑張っていきたいと思います。実力は火影様のお墨つきで——」
「ミユキ——…?」
途中で自己紹介を遮ったその“こえ”
その声はわたしがこれから守っていく彼のこえ。
わたしは名を呼んだ彼を見上げ、にっこりと微笑んだ。
「久しぶりだね、サスケ」
遠くからみるサスケの顔は“信じられない”と言っているような表情をしていて。
なんかちょっと笑えた。
というか、もうちょっと速く反応してほしかったなー。
わたしが教室に入ってきた時点でこっちを見て気づいてほしかったんだけど。
ま、いきなりだったししょうがないかー。
全員死んだと思っていた一族が、生きて教壇に立ってるんだもんねぇ。
そりゃ驚くよ、うん。
そういえば、さっきからサスケが何も反応してくれない。
「おーい」と言いながら手を振るも、振り返してさえもらえない。
「あれ?わたしのこと忘れた?さっき名前呼んでくれたのに」
あらら、と肩を竦めてみせるが、それでもサスケは動かない。
名前を呼んでくれたから覚えてないわけではないんだろうけど。
さすがにこの反応は。
反応がない反応は…悲しいなぁ。
無視されてるみたい。
理想は、元気に駆け寄って名前を呼んでくれることだよ。
あ、どうでもいい・・・はいそうですね。