第3章 あやしい人
「それで、アドさん?あなたの目的はなんですか?」
目の前の人、ーーアドさんが、無遠慮な行動をしたことで、敵意はないと判断したわたしは、アドさんに近づいていき、2メートルくらい手前に正座をし、尋ねた。
アドさんは、何故か驚いた表情のまま、わたしの問いにも答えず、動かない。
彼が動かないことには何も進まない。
ので、待つことにする。
その暇つぶしに、アドさんを観察してみた。
アドさんは、おじいさんだった。
白い髪に、白いひげ。
しわの寄った顔に、筋張った手。
顔の作りは違うが、イメージとしては、3代目火影に近いかもしれない。
「わしの目的は、緋月、お主に話を聞いてもらうことじゃ」
わたしの観察は、そんな言葉で切られた。
いやそれより
「どういうことですか?」
話聞いてもらうって、さっぱりわからない。
「言葉の通りじゃ。今から聞いてもらいたいんじゃが、話は長くなる・・かもしれん。聞いてくれるか?」
「はぁ。かまいませんけど。」
わたしがうなずけば、アドさんは、ほっとしたのか、優しく笑った。
うん、なんかアドさんの笑顔癒やされるな。
うちのじいちゃんに似て。
そんなことを思いながらほくほくしていたら、アドさんが、ごほん、と一つ咳払いをして、話し始めた。
「えーおっほん。さっそくじゃが、わしはお主を召喚した」
「ちょっと待って」
「・・なんじゃ」
いやいや、そんな不満そうな声出さないでくださいよ。
最初から意味がわからない。
「召喚、ってなんですか?」
「召喚か?召喚は、いわば口寄せの進化版、のようなものじゃ」
「口寄せの、進化版?」
「うむ。お主、口寄せは知っておるな?」
知ってますよ?知ってますけど・・・何で知ってることを知って・・・。いや、ここには突っ込まないでおこう。
「はい、しってます」
「やはり。それでじゃ、口寄せが、時空間を超え、物体を呼び出すのに対し、召喚は、次元を超えて、様々な物を呼び出すんじゃ」
つまり。
召喚は、3次元から2次元、ということか。
3次元にいたわたしが、2次元に来たように。