第16章 うちは一族虐殺事件
わたしが今更な可能性に冷や汗をかいたとき、ルウさんがぽつり、言葉を零した。
「なら・・・ミユキとはここでお別れだな」
そうだ。
わたしのこの選択はルウさんとの別れを意味する。
本日二度目の“今更”に何とももの悲しい気持ちが胸中を占めた。
そこにふと、とある気づきが小さく入り込んできた。
そしてそれは次第に膨らんでいく。
それ、とは
戦争をとめる目的のことだ。
目的はルウさんを生かしてわたしの寿命を延ばすこと。
そしてそのためには尾獣をどうにかして、暁から守らねばならない。
しかし、
わたし一人の力では到底不可能なので、ルウさんの力を借りたい。
となると、少なくとも我愛羅の一尾が奪われる、ナルトたちが15(16)歳になる九年後には戻ってきてほしいわけだ。
「えーと、ルウさん?」
「何だ?」
「ルウさんが生き延びるための分岐点みたいなものが、9年後ぐらいにあるから、そのときまでには木の葉に戻ってきてね」
ルウさんは意味が分からないと言った表情で首を傾げている。
当然の反応だ。
誰だって、9年後に分岐点があるよ、なんて言われて「うん分かった」なんて言わないと思う。
そう言う人がいたら、変人か、言った人のことを魂レベルで信頼してるかのどっちかだ。
「・・・わかった」
いたあああ!
ルウさん変人だぁぁ!
・・・あ、わたしのこと信頼してるとか?
そう言えば前にルウさんはわたしのことが大好きらしいっていう結論に至ったようなそうでないような。
まあ、わかったって言うんなら、それでいいや。