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心【NARUTO】

第16章 うちは一族虐殺事件



あれから少し時は進み。

わたしとイタチは、一族の、仲間の命を散らせていった。
イタチ兄さんがわたしに戦わせまいとしたこともあって、数はそんなに多くなかった。



が、確実に何人かはやった。

とどめは刺さないまでも、怪我を負わせることはした。
最初は、仲間を傷つけることに、ためらいがあった。
しかし、それもすぐになくなった。
自分が別の生き物に進化したような気がした。





そしてついに、わたしたちは、———フガクさん達の、わたしたちの両親の家へとたどり着いた。



久しぶりに見る家。
ここで過ごした日々を思い出し、懐かしくなる。

そんな感傷を振り切るように頭を振り、わたしは、腰につけていたウサギの面をかぶった。

「なぁ」

突然イタチ兄さんが声をかけてきたので「ん?」と一言返す。

「どうして面をつける?」

「どうしてって・・・正体を隠すためだよ」

わたしが笑って言うと、イタチ兄さんは不思議そうに首を捻る。

「どうせ全員殺す。正体を隠す意味があるのか?」

「もちろん。だって・・・イタチ兄さんはサスケを殺せないでしょ?」

そう言えば、イタチ兄さんは目を見開いた。

そのあと、至極真面目な表情に直り、わたしを見つめた。
その目には確かな覚悟と、迷い。

「俺は、一族殺しの反逆者になる。いくらサスケでも容赦はしない」

相反する二つの感情を目に宿しながら、イタチは覚悟の言葉をくちにする。

「いーや。わからないよ。殺さない、否、——殺せない」

寂しそうにわたしが笑う。

イタチの覚悟はすばらしい。
けど、その覚悟に何の意味があるのかは、頭の悪いわたしにはわからない。
必要のないことではないかと、つい思う。



小さく微笑むわたしに、イタチ兄さんは、何か言いたげな表情をしていたが、結局何も言わず、ただ目線で、わたしに侵入を合図だした。




さあ、ここから。


わたしはイタチ兄さんとは別の覚悟を入れ直し、彼のあとに続いた。
今更、怖いなど

そんなことは言えなかった。

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