• テキストサイズ

心【NARUTO】

第16章 うちは一族虐殺事件



悪いことに、予感は当たっていた。


うちはの集落に入ると漂う、鼻のもがれるような血のにおい。

さらに、戸の開いている家に入ると。
そこには、血だらけの遺体。


遅かった。


イタチに交渉をする前に、もう事件は始まってしまったのだ。

わたしはきっと殺される。
もう、生き残ることは不可能だ。


自分の死を予期し、絶望するわたしに、ルウさんが追いついてきた。

「おい。ミユキ、これどういうことだよ」

血なまぐさいのだろう。
鼻から下を押さえている。

ルウさんは、わたしの近くに倒れている遺体を見て、そっと頭下げた。

「どうもこうもないよ。話したよね。うちは一族虐殺事件が始まったんだよ。もう、手遅れ。わたしは・・・殺される」

自分で話してて、なんか悲しい。
涙が出そうだ。

わたしは殺されるのか。

イタチ兄さんはきっと強い。
わたしなんか足下にも及ばないくらいに。

抵抗なんて無駄なんだ。
ただつらくなるだけ。


ならいっそーーーーーー






「ミユキ」

そっとかけられた声に、はっと我に返る。

「手遅れ、ってことはねぇんじゃねぇの?」

「え・・・」

「ほら、ここみろよ」

そう言って指したのは、床に広がる赤。
ルウさんがその端をちょこっと指ですくうと、それは指に付着した。

「この血はまだ乾いてない。感触からいっても時間はそう経ってないはずだ」

「ってことは・・・」

「そうだ。この事件はまだ始まったばかり。今から、そのイタチって奴を探せば、お前が生き残る道もあるってことだ」


・・・そっか。
まだ、わたしは生き残れる可能性があるのか。


なら、道はひとつだ。


「イタチ兄さんのところに行く」

「おう」


決意の言葉に返ってきた頼もしい返事とともに、わたしたちは、血ぬれた夜の集落を駆けだした。
/ 204ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp