第16章 うちは一族虐殺事件
帰ったのは夜。
家々を闇が覆い、空には月が、ぼやぼやと光る。
なんとも普通の夜だった。
今日帰ることは伝えていないので、驚くだろうなー、と少し期待しつつ、ルウさんと二人、久しぶりのフガクさん家へ向かう。
だんだんだんだん、
近づいていく。
今は夜だが、真夜中って訳じゃない。
人の気配がしたっていいものだが
ーーーしない。
人の気配がしないのだ。
わたしの脳裏に、悪い予感が浮かぶ。
それを打ち消すように、わたしは駆けだした。
制止するルウさんの声は、聞かず、全速力で。