第3章 あやしい人
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そいつが現れたのは突然だった。
そのときわたしは、家の縁側に座って、考え事をしていた。
原作キャラに会いたい、とか、もとの世界帰れないかな、とか。
そんなことだ。
あまりにも平和すぎて、油断していた。
だから、目の前に人が立ち、顔に影がかかるまで、その気配に気づかなかった。
わたしが気配に気づき、勢いよく飛び退けば、クククッ、と笑う声がした。
逆行で顔が見えない。
「誰?あんた」
目の前のやつが発するピリピリした空気が、前の世界、不良として、喧嘩に明け暮れていた日々を思い出させ、自然と声が低くなった。
あまりにも大きなプレッシャーに、思わず喧嘩をするときの構えがでる。
喧嘩をしなくなって2年ほどたつのに、体はまだ覚えているのか。
自分で自分に感心する。