第15章 別れと出会い
とかそうしている間にも、デイダラの準備が整ったようだ。
掌の上に、小さな白い物体が乗っている。
その小さな物体を、デイダラは空高く放り投げた。
宙を舞う、爆発物。
「喝ッ!」
身のすくむような爆発音。
爆発の衝撃による風圧。
デイダラの一声で、白い爆発物はいとも簡単に爆発した。
「すんげー」
「だね」
うん、ほんと、現実でみるとまたひと味違う。
ま、起爆札と同じような効果だけど。
ルウさんは起爆札使わないからなぁ。
わたしも実践とかほとんどしないから使わないしね。
「な、オイラの術は芸術的だろ、うん」
自慢げにそういうデイダラ。
なんだか凄くほほえましい。
小さいからかな?ミニチュア効果?
「うん、そうだね。一瞬の芸術ってやつだね」
うんうん、とお母さん的心境になりながら肯定すると、デイダラが驚いたように目を見開いた。
そしてじっとわたしを見つめる。
・・・あれ?まずいこといった?
「ミユキ!オイラの芸術が分かるのか!」
あ、そういうことか。
よく芸術のことでサソリと対立してたし、芸術のセンスはあんまり認められてなかったような…。
「一瞬の美こそ芸術だ!その一瞬のためにオイラはこの爆遁を体得したんだぜ、うん。それを認めてくれた奴は初めてだ!お前いい奴だな!」
“爆遁を認めた”
それだけのことでここまで喜ぶデイダラは、なんとなく少し悲しい。
誰にも自分の価値観を分かってもらえない、ってけっこうつらい。
ここの世界ではよくあることだけど、
だからこそ。
デイダラにはわたしが甘くしてもいいかなーなんて。
いいよね、爆発を褒めるくらい。
「ありがとうデイダラ。またその術見せてね。今度はもっと派手なの」
「!…おう!」
この無邪気な笑顔を守ってあげたいと。
わたしは戦争を止める決意を改にした。
「・・・だめだ、芸術とか意味わかんねぇ」
「ルウさん、わかんないなら口を挟まないのが最善だと思うよ」