第15章 別れと出会い
怪我を治した少年とその後話したことによると。
やはり彼は将来「暁」に入ることになる「デイダラ」で間違いないようだ。
岩隠れの出身だし、爆遁を習得しているようだし。
そして、
その爆遁の関係で、デイダラは身を追われているらしい。
わたしが目撃したのはその逃走の最中だったというわけだ。
「で、これからデイダラさんはどうするの?」
「逃げるぞ、うん」
逃げる、かぁ。
…それなら。
「デイダラさん、わたしたちと一緒に来ない?」
「おいミユキ!?」
ルウさんが驚いているけれど、そんなのは関係ない。
これはルウさんのためでもあるんだから。
わたしの考えはこうだ。
デイダラと一緒に旅をすれば、暁の戦力をそげる。
また、我愛羅の一尾が抜かれるとき、我愛羅をとらえにくるのは、デイダラとサソリの芸術コンビ。
デイダラが暁に加入しなければ、デイダラはその場にいなくなる。
つまり、運び手が空を飛ばない。
まぁ、トビとか、黒ゼツ白ゼツとかにこられるとさらに困ったことになるけど。
それでもデイダラの戦力は大きいとみた。
こちら側に来てくれるとなおいい。
というわけで、勧誘。
「どうかな、デイダラさん。一緒に行くと行っても、しばらくは岩隠れにいるだろうから考えてみてくれないかな?」
わたしの言葉に、デイダラはあごに手を当て、ぶつぶつと呟きながら考えている。
うん。少年時代は誰しも素直なものだね。
よきかな、よきかな。
デイダラの言葉を待っていると、すすっと音もなく、ルウさんがわたしに身を寄せてきた。
「なぁ、どうしてあいつと仲良くすると俺の生き残る確率が上がるんだ?まだあいつ子供じゃねぇか」
こしょこしょと、内緒話をするように口に手をあてささやくルウさん。
その疑問はこうやって彼に近づく前にするべきだと思う。
相変わらずルウさんは阿呆で、抜けている。
そして。
自分が生き残る運命を、デイダラさんとおなじくらいの子供であるわたしに託している人の発言としてどうなんだそれは。
わたしは子供!
I am child !
「デイダラさんは、第四次忍界大戦を引き起こす組織の一員だよ」
「は!?あんな子供が!?」
「・・・・・未来の話だよ」
はぁ。
デイダラ、速く考えまとめて。疲れた。