第15章 別れと出会い
仕方がないので、もう武力行使でいこうと思う。
あんまり別れを長引かせてもね。
というわけで、わたしは得意の結界を発動した。
自分に向けて。
すると、結界によって我愛羅はわたしから強制的に引き剥がされ、その衝撃で、尻餅をついた。
テマリとカンクロウはその様子を見て慌て、当の我愛羅は、わたしを不満げに睨んでくる。
我愛羅の目が潤んでいるのように見えるのは、気のせいとしておこう。
じゃないと思わず連れて行ってしまいそうだ。
わたしは、我愛羅への未練を断ち切るように、ルウさんに向き直り声をかけた。
「いこ、ルウさん」
「お前、やっぱり結構えげつねぇよな」
「・・そう?」
「だって、あんなに甘やかしてたのに別れの時になってあんな突き放し方するとか・・・」
「それも愛ってやつだよ」
「…そうかよ」
ルウさんがしかたねぇやつだ、とでも言いたげに肩を竦めた。
わたしもさっきのはちょっとやり過ぎたかな、と反省している。
わたしが我愛羅の立場だったら、人間不信が再発してもおかしくはない。
ほら、わたし豆腐メンタルだから。
え?そんなことない?
いやいや、わたしってば、すごーく精神弱いよ。
・・・て、わたしはどうでもいいんだよ。
くだらないことを考え、気持ちを落ち着けたわたしは、我愛羅に近づき、そばにしゃがみ込んだ。我愛羅は俯いていた。
「我愛羅、ごめん」
「っ」
「やりすぎた、かも」
そういって、あたまを撫でる。
いつもやっていたように、優しく、優しく。
そうしたら「ミユキっ」と叫びながらわたしに抱きつこうと手を伸ばしてきた。
あ、と思ったときには遅かった。
我愛羅は見事に顔を結界にぶつけ、痛さからか、頭を抱えてうずくまった。
「えっと、…なんかごめん」
「・・・なら結界を「解かないよ」・・・ふん」
我愛羅はふてくされたように横をむいた。
ちょっと残念な感じがあるけど、さっきの別れ方よりは多少ましになった、はず。