第14章 愛
ごっほん。
わざとらしい咳払いをして、わたしは交渉、否、説得をはじめた。
「我愛羅って自分がなんのために生まれてきたのか、とか考えたことない?」
「っ!」
原作の我愛羅は考えてそうな感じだったけど、さすがに五歳児でそれはないか。
「んー、難しいかなー。ルウさんは?」
「俺は・・・まあ、あるな」
ふむ。あるのかルウさん。
意外。馬鹿なのに。
「答えって出た?」
「・・・いや、出なかったな」
「そっかー」
そうだよね。
まだ十幾年しかいきてないもんね。
まあわたしはルウさんの正確な年齢を知らないけど、見た目的にそんな感じだから。
それに引き替えわたしは、16+7で、23。
精神年齢だけで見れば大人、うまくいってれば社会人一年目だ。
しかも二度目の人生、最初はほとんどの時間を思考に費やしわけで、ほら、それなりに考えがまとまるわけですよ。
さて。ここからわたしの持論。
「人ってさ、何かしらの役割のために生きているんだと、私は思うんだよ」
「やく、わり」
「そう。人は生まれながらに役割を持ち、いつかそれを果たすために生きている。その役割はいくつあるのか、どのようなものか、だーれもしらない」
「・・・」
「けど、確かにある。自分だけの自分にしか出来ない“役割”があるんだと私は思う。・・・・って、難しいかー」
横目で我愛羅をみると、さきほど無だった瞳が、かすかに光を灯し揺れていた。
こーんな変な話で我愛羅の心が揺れてくれるならばんばんざーい。
楽なんだけどね−。
我愛羅はこの話を理解してるのかなぁ。
優秀なNARUTOの世界の忍とはいえ、まだ5.6歳の子供。
青年であるはずのルウさんでさえ首を傾げるこの言を、はたして理解できるのか。
てかルウさん、もうちょっと理解する努力をしようよ。
我愛羅でさえなにか考えていそうなのに。