第14章 愛
「殺されかけた・・・?」
呆然、その言葉通りの似合う顔だった。
きっと、心の中では疑問符が渦巻いていることだろう。
でも、説明は後回しだ。
「説明は後で。今は我愛羅をどうにかしよう」
姿の変わった我愛羅に目を向け、告げる。
ルウさんは渋々といった風に頷いた。
よくこんな状況で聞こうと思えるなと、半ば感心。
さてな、どうしよう。
どうにかしようといったものの、具体的な案はない。
やはりここは、武力行使しかないのか。
交渉できそうもないし。
とりあえず気絶させて、それからだね。
「よし。ルウさん、わたしに任せて」
「何か策があるのか?」
「いやない」
「即答かよ」
やれやれと肩を竦めるも、なにもいわずわたしに任せてくれるルウさんは、だいぶわたしを理解しているのだろう。
ありがたいことだ。
「いくよ−」
親切にも、合図を出し、直後。
瞬身の術で、我愛羅の背後に飛ぶ。
我愛羅の背中に踵落としを繰り出し、倒れたところをそのまま押さえ込んだ。
そして最後に懐からもしもの時用に準備していた、封、と書かれた札を取り出す。
これは、尾中の力を多少なりとも沈めてくれる忍具だ。
片腕が変化した状態くらいなら、押さえられるという、なかなか便利な代物。
それを我愛羅の額にぺたり、貼り付けると、みるみるうちに腕は小さくなっていき、我愛羅はもとの大きさに戻った。
すでに我愛羅の意識はなく、ただただ小さな体がその場に残されるのみとなった。
その後。
「お前・・・」
「ん?」
「そんなに早く動けたんだな」
「突っ込むとこそこかい」
ルウさんと気の抜けるようなやりとりがあったのは、ご愛敬というやつだ。
・・・いやほんと、なんていうか。
勘弁してほしい。