第14章 愛
やばい。
わたしがそう思った瞬間、いつもなら到底飛んでくるはずのない砂が放られた。
突然のことに、避けきれず、わたしは軽く吹き飛ばされる。
怪我はないが、痛い。
けっこうくる。
・・・痛い。
「ミユキ!平気か!」
「あ、ルウさん」
「あ、ルウさん・・・じゃねえよ!なんで吹っ飛ばされたんだよ!」
遅れて入ってきたルウさんがなんともうるさい。
無言で前を、我愛羅を見た。
「は・・・?」
困惑したような声をだすルウさん。
気持ちは分かる。
だって、今の我愛羅の姿は・・・異形だから。
目が黒くて、片腕はいびつに変形。
どこをどう見ても異常だ。
「お、い・・・どうしたんだよ、これ・・・?」
「・・・一つ、心当たりがある」
といっても前世の知識だけど。
「なんだ?」
「夜叉丸さんいないよね」
「・・・?ああいないな。それがどうしたっていうんだ?」
本当に分からないか。
・・・いや、普通はこんなこと分かるわけがないか。
二人は仲よさげに見えただろうし。
風影様の思惑も、ルウさんに限っては、一尾のことも知らないし。
だから、告げるしかない。
わたしが。
認めたくないけど、いうしかないのだ。
息を吸う。
「たぶん我愛羅は——
夜叉丸さんに殺されかけたんだよ」