第13章 砂の里—我愛羅—
わたしのことを紹介するには、まだ我愛羅の知識が追いつかないので、わたしに関しての詳細を教えることはあきらめた。
代わりに
我愛羅のことをいろいろと聞く。
好きなもの、食べ物、など好きなもの系から入って、何をして過ごしているのかとか、得意なこと、不得意なこと。ついには、家族の話をするところまでいった。
我愛羅は父親ーーつまり風影ーーのことを恐れているらしい。
いや、苦手・・・だろうか。
とにかく、いい感情はもっていない。
夜叉丸さんに関しては、ものすごく好意的。
優しい人だと、嬉しそうにいっていた。
お母さんのことは、風影様からきいているらしく、罪悪感があるみたいだ。
我愛羅の母は、我愛羅を産み、その直後に死んでしまった。
くわしいことは、我愛羅も聞いていないらしいし、わたしも覚えていない。前世的に。
でも確か、そのときに我愛羅を守る砂の壁「絶対防御」が、母から授けられた・・・みたいな話だったような?あれ?違う?
いや、そこはいいや。
と、そんな話をしているうちに、夜叉丸さんが帰ってきた。
「我愛羅様、ただいま戻りました」
「夜叉丸!おかえり」
「はい、我愛羅様。・・・と、どちら様でしょうか」
駆け寄った我愛羅の頭を、買い物袋を持っていない方の手でなでながら、夜叉丸さんはわたしたちを見留めた。
見た目の第一印象は、優しそう。
しかしわたしは知っている。
彼が本当は我愛羅のことを恨んでいて、いつの日か我愛羅を殺そうとすることを。
だからわたしは彼に細心の注意を払う。
「はじめまして。私、火の国、木の葉の里から参りました。ミユキと申します」
「同じく、七星ルウです」
二人そろって頭を下げた。
そういえば今思ったけれど。
わたしは更科と、うちは、どちらの性を名乗ればいいのだろう。
迷いどころ。
うむ。
「ああ。ミユキさんにルウさん。風影様から話は聞いています。どうぞゆっくりしていってください」
おお!
風影様いっておいてくれたんだ。
助かる。
変に勘ぐられなくてすむからね。
あれ。
でも風影様から伝えられたなら、わたしが風影様から我愛羅を守ろうとしていることも伝わっている?ん?あれ?
・・・
もういいや。
考えること放棄。
ねむねむ。
いや寝ないけど。