第13章 砂の里—我愛羅—
考えることを放棄したわたしは、警戒しつつも、我愛羅、夜叉丸さん両名と、見かけ上和やかに話していた。
見かけ上というのは、夜叉丸さんの本心が分からないからだ。
彼が心の中でどうおもっているのかは。
彼のみぞ知る。
うん。はい。
そうしてしばらく過ごしていたが、話に区切りがついたところで、今日のところは引き上げることにした。
ルウさんを見れば、彼は大分前から飽きていたようで、だらしない格好で座っている。
こちらが尋ねた側で、気を遣うべきだと思っている私からすれば、彼の姿が少々羨ましく思える。
マイペースっていいよね。
自己中心的と言えなくもないけど。
「じゃ、わたしたちはこれで帰ろうと思います。・・ルウさん、かえろ」
声をかけると、ルウさんが嬉しそうに破顔して立ち上がった。
・・・そんなに帰りたかったんだ。
「もうですか?夕飯を食べていってもらいたかったのですが」
と夜叉丸さん。
「いえいえ。そんなに気を遣っていただかなくて大丈夫ですよ」
「ミユキもう帰るの?」
と、今度は我愛羅。
上目遣いで、名残惜しそうに、わたしの服の裾をつかんでいる。
あああああ!
この子何!?
わたしを殺す気!?
・・・ね、念のためいっておくけど、わたしショタじゃないからね!
イタチや我愛羅の幼い姿に萌えてはいるけど、それはあくまで見慣れた姿からのギャップが、未来の彼らを思い出させ、こう・・・ぐぐっとね!来るっていうかね!
しかも二人はわたしの好きなキャラだから余計ね!
その証拠に、サスケには萌えなかったよ。
こんな小さい頃があったんだなー、と母親的心情で感慨深くなっただけ。
え?なんの証拠にもならないって?
なるったらなるんだよ!
「何やってんだ、帰るぞミユキ」
あ、そうだ。帰るんだった。
って、ルウさんそんなに引っ張らなくても帰るって。
ルウさんのせいで我愛羅の手が離れちゃったじゃないか!
わたしはルウさんに腕をひかれながら、後ろを向いて叫ぶ。
「我愛羅ーまたくるよー。夜叉丸さーん、ありがとうございましたー」
次へと繋がる、希望の言葉を。