第13章 砂の里—我愛羅—
翌日、昼を過ぎた頃。
早速、我愛羅に会いに行った。
二回ノックをする、が何故か出ない。
夜叉丸さん(原作で、我愛羅が信頼してて、かつ我愛羅を裏切る人)がいると予想していたが、外れてしまったようだ。
「出ねぇな、我愛羅ってヤツ」
「うーんそうですね」
どうしよう。
出直そうかな、と考えたとき、高く軋んだ音を響かせて、小さくドアが開いた。
見えたのは、翠の瞳。
まぎれもなく、我愛羅本人だった。
「だれ?」
子供らしく舌足らずな高い声。
まじかわいい....。
我愛羅さんこんな可愛かったっけ?
てか出てくると思ってなくて完全なる不意打ちなんですけど!
しかも今私たちの身長は、同じくらい。
バッチリ目が合うのだ。
これほどの衝撃を与えるとは....!
恐るべしキャラの小型化!
と、そんなふざけた心の内はひた隠し、わたしは口を開いた。
「はじめまして。わたしは緋月。こっちの男の人がルウさん」
「どうも」
まず簡単な自己紹介をして、さっさと本題に入る。
「早速だけど、わたしたちは君を助けに来ました」
抽象的で意味の分からない言葉に、我愛羅は困惑の表情を浮かべている。
知らない人にこんなことを言われるのだ、当然と言える。
しかし、そんなことを気にとめるわたしではない。
というわけで
「おじゃましまーす」
「え」
「ごめんな。はいるぞ」
「え、なんで」
戸惑う我愛羅は無視して、ルウさんとともに家に入るため、扉にかけた手に力をこめる。
「だめ!」
扉をあけることを我愛羅が拒否し、叫んだ瞬間。
彼を守る砂が、わたしの手に向かって飛んできた。
それらがわたしの手を覆う。
そしてそれらはわたしの手を握りつぶしーーーー
は、しなかった。