第12章 砂の里—四代目風影—
「我愛羅さんに近づく許可をください」
本当に直球で尋ねる。
まどろっこしいのは面倒臭い。と、いうのは建前だけれど。
「目的は」
当たり前のように問われる。
目的、か。
正直に言うわけにはいかないしなぁ
「我愛羅さんを助けたいから、です」
これは嘘ではない。
我愛羅が、親や、信じていた人に殺されかけるのはわたしの本意でなく、阻止したいことだ。
「助ける?なにからだ」
特に何の感情も見せずに言い放つ風影に、瞬間的に怒りが増幅する。
白々しいなぁ、風影。
自分で殺そうとしておいて何言ってんだか。
眉間にシワが寄りそうなのをどうにかこらえようとして、にっこり微笑んだ。
「あなたからですよ。四代目風影」
・・・
あ。
いや違う、本当は「いろいろです」と言おうと思ったんだ。
でも怒りのあまりのその・・・我を忘れてと言うかだな、ちょーっと頭に血が上っちゃって。えーっとそのね、・・・・・・
間違えたんだよ!!
ああもう。
わたしの馬鹿!なんて悪い口!
願い事が叶わなさそうな気配に、弱気なわたしが顔を覗かせる。
助けてもらえないかと、期待して、ちら、とルウさんに目を向けるが、ルウさんは我関せず、といったように目を閉じて黙っている。
ですよね。と納得するしかない。
仕方がないので、視線を前に移すと、月明かりに照らされて、風影様が、面食らったように目を見開いているのが見えた。
しかしまた、すぐもとに戻る。
「どういう意味だ」
「そのままです。我愛羅をあなたから助けたいんです」
「・・・」
「我愛羅さんに近づく許可をください」
いいながら思った。
失敗したな、と。
許可をもらうべき相手を挑発してどうするんだ、と言いたい。
自分に。
・・・・・もういいよ!
どうにでもなれ!
断られることを前提に答えを聞けば、心の痛みは軽くてすむ・・・はず!
しかも最初っからやらかしてるしね!