第12章 砂の里—四代目風影—
「ルウさんっ!」
わたしは取り乱して、思わず叫ぶ。
しかしやがて、大量の棘が刺さったルウさんの体は崩れ落ち、わたしの目の前に立ちはだかるようにして、ルウさんが現れた。
「うっわ、あぶねぇな。さすが風影ってとこか」
・・・
し
「死んでなかった!」
「失礼だな!こんなもんじゃ死ぬわけねぇだろ」
いやいやいやいや、死ぬよ!?
わたしだったら今ので絶対死んでるよ!
「ほう。仕留めきれなかったか」
わたしたちが場にそぐわないやりとりをしていると、重苦しい声が聞こえた。
その瞬間、一気に場の空気が引き締まる。
わたしたちに向けられるとてつもない威圧感。
発生源は他でもない、四代目風影様だ。
「次で終わらせる」
そういって風影様が手を動かすと、さっきルウさんを突き刺したものと同じ形状の棘が、わたしたちに向けられた。
月の明かりに反射して、見えたそれ。
あ。と、そのときわたしは、四代目風影様の術について思い出した。
彼の術は磁遁。
砂金にチャクラを混ぜて使う術で、今のように砂金を棘のような形に変えて、敵を滅多刺しにしたりとか、忍具にまとわせて、忍具を思うように動かしたりだとか。
そんな術だったハズだ。
たぶん。
しかし思い出したところで、なんの意味もない。
なぜなら対処法がわからないから。
・・・肝心なところがわからないなんて、なんて役立たず!
うわー、ばかー。わたしばかー。
わたしの心の中での自己批判を意に介さず(当たり前)、それらが一斉にわたしたちめがけて飛んでくる。
あまりにも早いそれのスピードに、
これは死んでしまうかもしれない。
わたしがどこか冷静にそう考えた。
今までのことを振り返る余裕さえなかった。
死を覚悟する余裕さえなく、ただ受け入れるのみ。
の、はずだった。