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【6月合同企画】雨より飴を希望します

第9章 黒子のバスケ/虹村 修造




「虹村」
「んだよ…お前傘は!?」
「飛んでった」
「追いかけろよ!」
「もう既に濡れてるらから諦めた」
「おい…」

 朝、雨が降っていた。もちろん彼女は傘を持って出たが歩いている途中傘が飛んでいってしまったのだ。
 最初は焦った彼女は自分の服がビショビショであることを考えると諦めた方が良いと判断したのだった。
 しかし虹村は苗字とは違い足元しか濡れておらず、それを見た彼女は少しだけムッとした表情をしていた。

「ったく…は、入ってくか?」
「いい」
「はぁ!?遠慮すんなよ」
「折り畳み傘、バッグの中に入ってる」
「使えよ!」
「畳むのめんどい」
「お前なぁ.….」

 ふと苗字の服を確認しようとした虹村は一瞬で顔を真っ赤にさせ足を止めた。
 基本制服で登下校することになっていて、6月から夏服のためブレザーを着なくて可ということになっているが、虹村にとってそこが問題なのだ。

「おっま…透けてる!」
「あ」
「あじゃなくて…それでここまで来たのかよ!」
「特に気にしなかったから」
「気にしろよ!」
「…色っぽい?」
「バッ…!ちょっと待て!」

 その場に苗字を立ち止まらせ荷物を漁り出した彼に彼女は首を傾け、背中をジッと見つめていた。
 その視線に気づいてるか否かは分からないが、彼は目当てのものを見つけて渡した。

「…着とけ」
「なにこれ」
「バスケ部のジャージ」
「えー…身長差あんじゃん」
「透けるよりはマシだろ」
「別に透けてることは気にしてないんだけど」
「だから気にしろよ!」
「分かったけど着るのめんどい」
「いいから着ろ!」

 仕方なさそうに既に濡れかけているジャージを受け取り、荷物を持つと言った虹村に預けて彼女は上から着始めた。
 先程彼女は身長差があると言っていた通り彼女にはスカートが隠れてしまうほどブカブカだった。

それを見た虹村は先程の一連の様子によって赤くなっている顔をさらに赤くさせ、彼女から視線をそらした。

「…でかいし動きづらいから脱いでいい?」
「や、やめとけ!」
「えー…でもなー…虹村のジャージ濡れるし」
「あー…じゃあほら、おぶってやるよ」
「重いとかいったら殺すから」

 虹村の乗った彼女は彼の背中に頭を預け、誰にも見えないようにふんわりと笑みを浮かべた。






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