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【6月合同企画】雨より飴を希望します

第8章 黒子のバスケ/赤司 征十郎






「今日も…いない」



推測ではあるが、これで彼女が何かを待つことをやめたのは4日目だった
赤司はそれでも諦めず、学校のあるその時間には行くようにしていた

よく覚えば赤司は彼女のことをよく知らないのだ。名前も分からないし、クラスも学年も分からない
人数の少ない学校ならばすぐに見つかったかもしれないが、マンモス校である帝光に顔見知りの人を探すのはとても厳しいことなのだ




「…帰るか」



彼が諦めて帰ろうとしたときに、外でサッカー部が雨だと騒いでいるのが視界に入った
彼は4日ぶりの雨だなと考えたときに脳内でなにかピンと来たような感覚がした

もし彼女が…雨の日にのみ待ってるのだとしたらと考えると少しだけ納得できる
先月の雨まで見つからなかった理由は分からないが…恐らく…




「あ、赤司くんだ」



ふと階段から聴こえてきた声に反射的に顔を向けると、傘を持っている彼女がニコリと笑いながらこちらに歩み寄ってきていた

赤司は久々に会えたことの嬉しさなのか、それとも考えが当たった嬉しさなのか、目を細めて笑った




「…久々だな」


「雨、降らなかったから」


「誰を待っていたんだい?」


「赤司くん」


「…なぜだ?」


「気になってた、から
…赤司くん、雨の日早く帰ること多い…だから…仲良くなれるかなって」



話せて良かった。とまた笑う彼女は帰ろうとしているのか、ローファーへと履き替えていた

そしてまたね。と手を振ろうとした彼女の手首を赤司が握り、真剣な表情をして話しかけた




「…名前、教えてくれないか」


「苗字名前…バスケ部の黒子くんと同じクラスだよ
改めてよろしくね赤司くん」


「苗字、今度バスケ部に来てくれないか?」


「赤司…仲良く、なれる?」


「もちろんだ」


「喜んで!」



彼の言葉にパッと笑顔を浮かべた彼女に赤司はいとおしさを感じながら、ふわりと優しく抱き締めた

これからは雨の日でなくても会えるのだと淡い期待を抱きながら、彼は彼女の耳元でそっと何かを囁いた

それを聞いた彼女は照れながらも段差の上に居る彼の頬に口付けをした










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