第63章 変化と進歩と計略と
合宿までの1週間は、とにかく忙しかった。
同伴するマネージャー、キオタさん……キオちゃんがひとりで不安にならないように、様々な事をアドバイスした。
もう、絶対に無理だと2日前に泣き出してしまった彼女を家に呼び、深夜まで話し合った。
結局泊まっていく事になってしまった彼女は、翌朝にはスッキリした顔でようやく吹っ切れたようで、安心した。
選手達には、以前教えたセルフマッサージの方法を改めてレクチャーしておいて、出来るだけ自分でもケアできるようにしたつもり。
慣れない環境下での練習は、何が起きるか分からない。
改めて、自分の身体との付き合い方を認識してもらう機会になったと思う。
2泊、無事に終わるといいんだけど。
「キオちゃん、頑張ってね。何か分からない事があったら、すぐ電話して」
「ありがとうみわちゃん……!
行ってくるね!」
清々しい笑顔だった。
多分、大丈夫だろう。
「んじゃみわ、行って来るっス!」
「行ってらっしゃい!」
そんなに人数は多くないので、学校名が入ったミニバンに乗って彼らは移動する。
……正直、彼女……キオちゃんが羨ましい。
大学生のチームとやり合う彼らを見たかった。
……そんなガキみたいな事ばかり考えたって仕方ない。
私は残ったメンバーの管理に集中しなければ。
改めて気合いを入れ直して、かけ声が響く体育館へ戻って行った。