第61章 恋人達は愛に誓いを
「ん……」
キスをしながら、時々見つめ合い、くすくすと笑い合って。
オレたちはそんな緩やかなセックスを楽しんでいた。
1ヶ月以上彼女に触れられず、溜まりに溜まった肉体は激しい挿入と爆発的な射精を欲しがっていたが、こころはもっと穏やかな繋がりを求めていた。
「気持ちいいっスか……?」
「ん……いい……」
「も少し奥まで入るから……挿れてイ?」
「うん……ッ」
ぐっと押し込むと、最奥の柔らかい場所へ先端が当たった感覚。
「あ……ん」
「あー……オレ、も……気持ちー……」
同じ表情をしたふたりの視線が絡み合い、どちらからともなく再び唇を重ねる。
もっと深く、深く、一番奥まで繋がりたい。
「みわ……バレンタインって、恋人達が愛を誓う日なんスよ」
「んっ……そ、だね……」
「みわ、オレの弱さで、傷つけてごめん」
みわはふるふると首を横に振った。
「オレは、これからもずっとみわだけを愛する事を誓う」
頬に手を添えて、真っ直ぐに目を離さずに、そう伝えた。
「私も……誓うよ。大好き、涼太……」
少し潤んで揺れた瞳には、オレだけが映っている。
オレの瞳にも、みわだけが映っているだろう。
甘い、甘いキス。
まるで、教会で神様に誓っているような甘い時間。
「……みわは、オレからずっと愛されるってことも、ちゃんと覚悟してね」
「……?」
「オレ、何があっても逃さねぇから……離さない」
「……うん」
その細い身体を、壊さぬように強く抱きしめた。
「みわの過去も…………今も、未来も……全部、お前の全部、受け止めるから」
オレには想像も出来ないくらい辛く、絶望的な……過去。
心の傷が癒えない現在。
そして……。
「オレ……まだこんなんで、頼りにならないと思うけど……守るから、ずっと一緒に居て、みわ……」
「涼太……」
みわは大粒の涙を零している。
ポロポロと溢れる雫があまりに美しく、暫く目を奪われていた。
みわが小さく頷いたのを合図に、また深く唇を求め合った。
他には誰も証人がいない、小さな小さなふたりだけの誓い。
幸せな、オレたちだけの時間。